角田裕毅に続け。「ホンダの秘蔵っ子」岩佐歩夢は11人目の日本人F1フル参戦ドライバーとなれるか (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • photo by Getty Images

F1直下のカテゴリーに昇格

 自身の走りを存分にアピールした岩佐は、見事にSRS-Fのスカラシップを獲得。海外のレースに参戦できるチャンスを掴んだ。

 2020年、岩佐はフランスF4にフル参戦。日本からはホンダ育成ドライバーとして佐藤蓮も同シリーズに参戦し、2台とも常にトップ争いに加わるレースを演じた。だが、頭ひとつ抜き出ていたのは岩佐だった。開幕戦でいきなり優勝を飾ると、その後も勝利を重ね21戦中9勝をマーク。佐藤に競り勝ち、シリーズチャンピオンを獲得した。

 この成績が次のステップへの足がかりとなり、翌2021年はひとつ上のFIA F3に挑戦する。これまで多くのF1ドライバーを輩出したレッドブルの若手育成プログラム「レッドブルジュニアチーム」のメンバーに選出され、強力な体制でレースに臨んだ。

 世界各国から将来F1を目指す若手ドライバーが集まるカテゴリーということもあり、FIA F3のレースは毎回熾烈なバトルが繰り広げられる。わずかな差が勝敗に大きく影響し、岩佐はうまく噛み合わないことで苦しむこともあったが、着々と力をつけていった。

 そして、ハンガリーで行なわれた第4戦R1では、序盤からアグレッシブな走りをみせてトップ争いを展開。ライバルたちがトラブルやペナルティで脱落したこともあり、トップに浮上して初優勝を飾った。その後、オランダで行なわれた第6戦R1で3位を獲得するなど、ランキング12位に入る活躍を見せた。

 このFIA F3に先立って、岩佐は2021年1月より開催されたF3アジア選手権にも参戦。優勝こそなかったものの15戦のうち14戦で入賞する安定した走りを披露した。

 注目の2022シーズン。岩佐はF1直下のカテゴリーであるFIA F2に、ついにステップアップする。GP2シリーズ時代に中嶋一貴や小林可夢偉も在籍し、シリーズチャンピオン経験のあるDAMS(ダムス)に加入することが発表された。

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