マクラーレン・ホンダ2年目、パワーは着実に上昇。足を引っ張っていたのはマシンのほうだった (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【関係性は再び強まった】

 さらに2年目からは、第3期F1活動ではジャック・ビルヌーブや佐藤琢磨の担当エンジニアを務め、最後はチーフエンジニアとして現場統括を担当していた長谷川が総責任者としてより現場に根ざした指揮を執ることになった。現場のエンジニアやメカニックたちは第3期を経験していた面々であり、彼らと同じ目線で現場を見て、より緊密に開発部隊へとフィードバックする体制だ。

「今シーズンに向けた開発はHRD Sakuraの人たちが準備してきたものであり、私はほとんど関わっていませんが、その方向性が間違っていなかったことが証明できたことは素直によかったなと思います。チームのメンバーがこの冬の間に準備してきたアップデートがきちんと機能し、確実に進歩しているなと感じています。第3期で一緒にやっていた仲間たちですし、あらためて信頼に足り得るメンバーだということも再認識できました」

 2016年の開幕を前に、チームに合流した長谷川総責任者はそう語っていた。

 第3期にBARとホンダの狭間で苦労してきた長谷川だからこそ、成功を収めるために必要なこともわかる。2015年に揺らぎかけたマクラーレンとの「ワン・バイ・ワン」の関係性は、この2016年の好調で再び強まっていった。

 言いたいことを言い合える関係性----。成功を収めるために、それが重要であることは、もちろんわかっていた。

「マクラーレン・ホンダが勝つために必要なことであれば、僕はそれがなんであっても言いたいと思っています。ホンダが上に立つとか下になるとか、そんなことはどっちでもよくて、チームが勝つために言わなければいけないことは言うし、マクラーレンが言っていることが正しければそのとおりにしたって全然構わないと思っています。

 大切なのは結果を出すこと。言葉を選ばないで言うなら、BARホンダの最初の頃は結構苦労していたんです。第3期の初めのほうがチームに溶け込むのに時間はかかっていました。それに比べて、今のメンバーはチームとの一体感がある。この年でずいぶん一体感ができているんだなと感じました」(長谷川F1総責任者)

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