トヨタがリベンジ、ホンダは悲劇。まさかの2年連続、スーパーGT最終戦で大逆転劇 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 だが、トヨタ勢が富士で躍進してくることは、もちろんホンダ側も予測はしていた。ホンダ陣営が動揺を見せる様子はなく、決勝前のグリッドでホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーに話しかけると、「そういうこと(最終戦・富士ではトヨタが速い)です。たぶん序盤は彼らが先行していくと思う。けど、そこに対して我々がどう粘れるかだと思います」と淡々とした表情を見せていた。

 午後1時、決勝レースがスタートすると予想どおりの展開となり、トヨタ勢がトップ3を独占。なかでもナンバー36のau TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)のペースがよく、13周目に14号車を抜いてトップに立つと、スタートドライバーを務めた関口がアグレッシブな走りで後続を引き離していった。

 一方、2番手から4番手に順位を下げたホンダのエース、ナンバー1のSTANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)はチャンピオン獲得のためにも、これ以上順位を落とせない。しっかりと4番手をキープし、22周目に牧野から連覇のかかる山本にドライバー交代する。

 トップとの差はなかなか縮まらなかったが、5番手以下の車両に対しても1号車は十分なリードを築いていた。このままゴールまでたどり着けば、ホンダが2年連続のチャンピオン獲得となる。

 しかし......最後まで何が起こるかわからないのがスーパーGTだ。チェッカーまで残り15周の1コーナー、GT300クラスでバトルをしていたナンバー55のARTA NSX GT3(佐藤蓮)が1号車に接触してしまったのだ。1号車は右フロントサスペンションにダメージを受け、ピットでの修復作業を強いられた。

「(接触して)クルマが普通に走らないとわかった瞬間、体の力が抜けてしまいました。でも、クルマが直るのであれば、最後まであきらめずに走りたいとチームにお願いしました」(山本)

 昨年の最終戦も、まさかの展開が訪れた。ナンバー37のKeePer TOM'S GR Supraがトップで最終コーナーを立ち上がった直後、ガス欠で突如のスローダウン。99%決まりかけていた年間王者が、その手からこぼれ落ちた。

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