トヨタがリベンジ、ホンダは悲劇。まさかの2年連続、スーパーGT最終戦で大逆転劇 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 今年も形は違えども、まさかの結末にサーキットは騒然とした。ホンダ陣営は迅速にマシンの応急処置を施して1号車をコースへ送り出したが、チャンピオン獲得の可能性は潰えてしまった。

 これでビッグチャンスが巡ってきたのが、トップを走る36号車だ。後半スティントを担当した坪井は最後までミスのない走りを披露し、最終戦で見事に今季初優勝を奪取。同時に2021年のシリーズチャンピオンに輝いた。

 最終戦の決勝レース前の時点で、36号車とトップの1号車との差は16ポイント。自力での逆転は不可能な状況だった。それでも、とにかく最終戦で優勝することを一番の目標に掲げていた。それだけにレース後は、まずは"今季1勝目"を挙げられたことを喜んでいる様子だった。

「今年はノーミスで走れていたので、非常に満足していましたし、そこは胸を張っていいかなと思っていました。ただ、優勝ができていなかったので、最後は何が何でも勝ちたいという気持ちでした。それが実現できて非常にうれしいです」(関口)

「GT500で勝つのは今回初めてだったので、初優勝とともにシリーズチャンピオンがついてくるとは......。今シーズンはほかのカテゴリーでもうまくいっていなかったので、最後に笑って終えることができて本当にうれしい。今年頑張ってきたことが最後に報われました」(坪井)

 振り返ってみると、今シーズンの36号車は優勝こそなかったものの、常にトップ争いに加わっていた。第1戦・岡山では同じGRスープラ同士とトップ争いを演じるも、それに敗れて2位。続く第2戦・富士では終盤トップに浮上するも、チェッカー目前でトラブルに見舞われて悔し涙を流した。

 そういった悔しさを抱えながら、36号車は希望を捨てずにシーズンを送ってきた。それが最終戦で結実したのだろう。そしてなにより、ライバルに万が一のことが起きた時、チャンスが巡ってくるポジションにいたのは、チャンピオン候補のなかでは36号車だけだった。

 最終戦の結果を見ると、トヨタがトップ5を独占。同じノーウェイト勝負となった開幕戦と似た図式となった。それも、トヨタ勢がシリーズチャンピオンを獲得できた要因のひとつなのかもしれない。

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