レッドブル・ホンダ、勝負を賭けたターン1。フェルスタッペンは一瞬の隙を見逃さなかった (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 その逆転劇の要因は、やはりタイヤだったとクリスチャン・ホーナー代表は振り返る。

「今日の我々は、タイヤを正しいウインドウに収めることができたんだと思う。タイヤ温度は非常にセンシティブで、そのせいでQ3では本来の速さを発揮することができず、最終アタックを完遂することができなかった。しかし今日はすばらしくウインドウのなかに収めることができ、両ドライバーともに非常にコンペティティブだった」

 予選でレッドブル勢のアタックを妨害したとしてホーナー代表に非難された角田だが、ターン10で明確に走行ラインを外して譲った角田としてはあれ以外にやりようがなかったと弁明し、ペレスが飛び出したのは彼自身の問題だと指摘。コーナーの先が見えないブラインドの中高速コーナーが連続するセクションで追い着かれるかたちとなり、不運が重なった結果だとホーナーに反論して周囲の賛同を掴んでみせた。

「僕としてはレッドブル勢のアタックを邪魔したとは思っていませんし、彼(ペレス)が自分でミスを犯しただけだと思っています。無線で(後続車両とのギャップ)カウントダウンを聞かされていましたが、僕はすでにセクター2(の中高速コーナーセクション)に入っていて、あれ以上はどうすることもできなかったと思います」

 金曜からピエール・ガスリーと同等に近い走りを見せ、メキシコで角田は速さを発揮していた。予選ではQ3に進出したうえでガスリーにトウを与えるチームプレーに徹しても、なお好タイムを記録していた。ガスリーが予選5位を獲得したように、アルファタウリ自体のパフォーマンスは中団トップだった。

 それだけに戦略的な4基目のパワーユニット投入によるグリッド降格ペナルティが悔やまれた。それでも、それを前提にフリー走行でロングラン最優先のプログラムをこなし、決勝ではこれまでにないレースペースを学ぶ絶好の機会になるはずだった。

 17番グリッドからスタートすることになった角田は、本来の速さを生かしてポイント圏内まで挽回することを目指した。だが、スタート直後のターン1〜2でボッタスのスピンに端を発した多重事故に巻き込まれて、リタイアとなってしまった。

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