ホンダNSX-GTは一発の速さだけじゃない。スーパーGTオートポリスで14年ぶり頂上奪還 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 まさしくホンダは、オートポリスで主役だった。14年ぶりに勝利を挙げたことで、ホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーは安堵の表情を見せていた。

「ホンダとしては長い間、オートポリスでポールポジションは獲得するものの優勝できていなかったので、今年はなんとか勝ちたいと思っていました。ようやく九州のファンのみなさんの前で優勝することができました。8号車が優勝したのはもちろんですが、ポイントリーダーの1号車が6位入賞でポイントを重ねたのも、タイトル獲得に向けて大きな意味があります」

 予選一発の速さでライバルを上回るパフォーマンスを見せるものの、決勝では逆転されてしまって勝利を逃す......。ミッドシップのNSX-GTで戦っていた2019年までのホンダは、オートポリスにおいてそういうレースが多かった。

 それが2020年からFRに変わったことで、今回は決勝でも粘り強い走りを見せるようになった。しかし、強くなった要因を「FRになったから」で片づけるのは早計だ。

 今シーズンのホンダは、FR仕様にタイヤメーカーと取り組んできたことがようやく成果として表れつつある。予選で後方に下がってもポジションを上げてこられるように、マシンだけでなくタイヤや戦略面なども見直したことで総合力が増した。

 たとえば、ランキングトップの1号車。シーズン前半の第4戦・もてぎで優勝を飾った彼らは、早い段階でサクセスウェイトが50kgを超える状況となった。当然、予選では不利な立場となって後方スタートとなったが、それでも第5戦SUGOで表彰台を獲得し、中盤戦は3戦連続でポイントを獲得している。

 決勝での力強さは、今回優勝を果たした8号車も同じだ。オートポリスでは当初マシンのセッティングが思うように合わず、23日朝の公式練習では一時最下位になるなど苦戦していた。しかし、決勝に向けて日が暮れるまでミーティングを行ない、妥協しなかった姿勢が優勝に結びついた。

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