レッドブル・ホンダ、異次元の走りでハミルトンを凌駕。角田裕毅も今季ベストレース (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 フェルスタッペンをピットインに追い込んだハミルトンは、今度はタイヤセーブの走りに切り替えて、37周目まで保たせたうえで2度目のピットストップを行なう。つまり、フェルスタッペンよりも8周フレッシュなタイヤで最終スティントを戦う状況を作り出した。

 フェルスタッペンの9秒後方に戻った最終スティントのハミルトンは、1周0.5〜1秒速いペースでその差を刻々と削ってくる。

 今年のアメリカGPでのメルセデスAMGは、明らかにレッドブルに後れを取っていた。しかし、レース戦略を巧みにコントロールすることによってフェルスタッペンよりも8周フレッシュなタイヤを履き、最終スティントにはマシン差をひっくり返して、余りある差を生み出してしまったのだ。

 一方、早めのピットストップを余儀なくされたフェルスタッペンも、ハミルトンのその戦略は熟知していた。だからタイヤを酷使しないよう、高速コーナーでタイヤを滑らせないように走って、最後の勝負にグリップの余力を残すことだけを考えて走っていた。

 残り2周。周回遅れのミック・シューマッハ(ハース)がフェルスタッペンの前に現われ、なかなか彼の背後に追いつくことができない。乱流でタイムロスを強いられるものの、1.2秒後方に入らなければ、周回遅れに対してポジションの入れ換えを指示するブルーフラッグは振られない。

 結果、フェルスタッペンは大きくタイムロスを喫し、1秒後方にハミルトンが迫る。ターン19の先でミックが道を譲り、最終ラップへ入っていくフェルスタッペンとハミルトンのギャップは、ついに1秒を切って0.987秒。

 バックストレートでDRSを使われれば、抜かれる。それがわかっていたからこそ、フェルスタッペンはセクター1の最速を塗り替えるほどの限界ギリギリのプッシュをして、ハミルトンから逃げる。

 そしてターン11の手前にあるDRS検知ポイントまでに、なんとか1.119秒差まで引き離すことに成功。これによって、ハミルトンにバックストレートでDRSを使わせず、オーバーテイクのチャンスを与えなかった。

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