フェルスタッペンとハミルトンの危険なバトル。大きな代償を払ったのはどっち (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 最後は、イン側縁石のさらに外側にあるカット防止のソーセージ縁石に乗り上げ、挙動を乱してハミルトンのマシンに接触。タイヤ同士の接触によってフェルスタッペンのマシンがハミルトン車の頭上に乗り上げる形で、グラベルに突っ込んで止まった。

 フェルスタッペン車のリアタイヤがHALO越しにハミルトンのヘルメットを押さえつけ、HALOがなければあわや......という危険なインシデントだった。

 スチュワードは両者の言い分を聴聞するとともに映像やデータを詳細に調査し、ターン1の入口からエイペックス、接触に至るまで一度たりともフェルスタッペン車はハミルトン車のフロントタイヤより前には並びかけられてはおらず、勝負を仕掛ける権利はなかったと判断。事故の責任の大部分はフェルスタッペンにあるとして、次戦3グリッド降格ペナルティを科している。

「彼は(ピット出口の)白線が終わったところのブレーキングゾーンでアウト側に寄せてきたから、僕もアウト側をまわってターン1〜2でナイスファイトができると思った。もちろん、ルイスは僕が仕掛けてくるということがわかっていたはずだ。

 でも、彼が僕に対して幅寄せし続けてきて、ある時点で僕は行き場がなくなってソーセージ縁石に乗ってしまい、そのせいで彼のマシンに接触して跳ね上げられてしまった。僕は彼と並んであのコーナーを抜けたかった。レースを続けたかったからね」

 しかし、フェルスタッペンが勝負を仕掛けられるほどに並びかけていないことは映像から明らかで、彼にできるのは前走車にスペースを空けろと要求することではなく、自身が引くかランオフエリアに逃げることだった。実際にセルジオ・ペレスやシャルル・ルクレールはそのように接触を回避している。

 スプリント予選のスタート直後のターン1ではフェルスタッペン自身がまさにハミルトンと同じ位置にいて、アウト側のリカルドに対してスペースを残さず押し出しており、リカルドが引いたことで接触は回避された。だが、これが後続の混乱につながってピエール・ガスリーはフロントウイングを壊し、リタイアにつながっている。

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