ホンダF1が30年ぶりに首位。モナコGPで完勝、勝敗を分けたライバルとの差

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 トップでチェッカードフラッグを受け、モナコ王室のロイヤルボックス前にマシンを停めたマックス・フェルスタッペンは、マシンに馬乗りになり、力強いガッツポーズでかつてないほど喜びを爆発させた。

 伝統のモナコGPを初めて制覇した。これまでに5度の挑戦で一度も表彰台にすら立ったことのなかった難攻不落のモナコを、完璧なドライビングで制した。まさしく完勝だった。

伝統のモナコGPを制したフェルスタッペン(写真中央)伝統のモナコGPを制したフェルスタッペン(写真中央)この記事に関連する写真を見る「ターン1をトップで通過したあとは、とてもうまくペースをマネジメントすることができたし、タイヤもいたわって走っていた。モナコGPはとにかくタイヤをできるだけ長く保たせるかが勝負のカギで、それによってスティントをできるだけ引っ張り、ピットストップのための空間を見つけるのが"定石"だからね。

 何台かのマシンが早めにピットインしてくれたことで、僕としては少し楽になった。おかげで、かなりレースをコントロールすることができたね」

 予選でポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)が、ドライブシャフトのハブ側のトラブルでスタートできなかったことも味方した。

 しかし、その後のフェルスタッペンと2位カルロス・サインツJr.(フェラーリ)のペース差を見れば、フェルスタッペンが語るように、ソフトタイヤをフェラーリ勢よりも長く保たせてコース上にとどまり、ハードタイヤの熱入れに苦しむ彼らの前に出ていただろう。レース終盤にプレッシャーをかけようとプッシュしたサインツは、あっという間にタイヤが駄目になってしまった。

 フェラーリは低速かつバンピーなモナコの路面に合わせて、脚回りを柔らかくしなやかにセットアップし、低速コーナーや縁石の乗り越えでタイムを稼ぐことで驚くべき速さを見せた。一方、レッドブルは木曜フリー走行で苦戦を強いられ、結局は脚回りを固めてRB16Bの空力性能に頼る走りをすることでタイムアップを果たした。

 予選ではフェラーリが優勢だったものの、それは予選偏重のサスペンションセットアップあってのこと。タイヤの保ちやレースペースは、レッドブルのほうが何枚も上手だった。

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