中野信治がF1開幕前のテストで興味深く見た「上位2チームの方向性」 (2ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄(マシン)、村上庄吾(人物)●撮影 photo by Sakurai Atsuo, Murakami Shogo

 しかし少なくともテスト段階では、メルセデスのクルマは決まっていなかったと感じました。同じようにマックス・フェルスタッペンがドライブするレッドブルも完璧に仕上がっている印象はありませんでしたが、テストではメルセデスよりはよかったと思います。

 昨年までのレッドブルはエッジが効いたマシンでした。でも今年はよりソフトで扱いやすい方向にしてきているように感じます。逆にメルセデスはどんなドライバーが乗っても速いというマシンでしたが、レッドブルとは反対にエッジを効かせた方向に振ってマシンを作ってきていました。

 つまり、テストまでは、上位2チームが真逆のことをやっていたんです。そこはすごく興味深いポイントでした。両チームが最終的にどんな方向で対応を進めてくるのかが楽しみです。いざシーズンが始まってみたら、テストのときとは全然違うこともあり得ますから、1回のテストを見ただけでは読めませんが、読めないからこそ、今シーズンは例年以上に面白いです。

 メルセデスとレッドブル以外で印象に残ったのは、マクラーレン。今季からPUをルノーからメルセデスにスイッチしましたが、昨年同様にバランスがよさそうだし、クルマの動きもよかったです。メルセデスのPUはルノーより確実に性能が向上しているはずです。ルノーから移籍してきたダニエル・リカルドもいいドライバーですし、今年も活躍しそうな予感がします。

 そのマクラーレンとともに、昨季の中団グループを盛り上げたレーシングポイント。今季はフェラーリからセバスチャン・ベッテルが加入し、アストンマーティンに名前を変えて参戦します。しかしテストではトラブルが続出して、あまり走行できていませんでした。正直未知数なところがありますが、マシン的にはそれほど大きな冒険はしてきていないように見えます。だから普通に走れば、昨年のようなパフォーマンスを発揮すると思いますが、そこをマクラーレンが少し上回ってくるのかなと予想しています。

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