角田裕毅にF1名フォトグラファーも大いに期待。「今までで一番」 (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 五十嵐和博●写真(プロフィール) photo by Kazuhiro Igarashi

桜井 チームメイトに負けないことがとにかく大事ですが、シーズン中盤からというのではなく、前半戦から全開で行ってほしい。ミハエル・シューマッハもそうでしたが、速い選手は最初から速い。それぐらいじゃないと生き残っていけない。下のF2にはいいドライバーがいっぱいいて、どんどん出てきますから。前半戦は様子を見て、という感じでやっていると、そのままシーズンが終わってしまう可能性もあります。

熱田 確かにシューマッハやジャック・ビルヌーブはデビュー直後にいきなり結果を出しましたが、現代は本番前に何度もテストできる状況ではありません。時代が変わっています。もちろんパッと乗って結果を出さないと先はないと思いますが、角田選手はF1マシンのテストを3回しかできていません。昨年末の時点では、まだステアリングの操作ボタンが完璧にわかってないとも話していました。パワーユニット(PU)の馬力、ブレーキ、タイヤもF2とは全然違います。対応するのにそんなに時間はかからないと思いますが、限られた時間の中で本番を迎えることになります。

 最初のうちはあまり焦らず、ガスリーにちょっとは負けてもいいので、しっかりと学習する。そして中盤戦以降は互角以上の走りをして、シーズン終盤の日本グランプリ(GP)ではぶっちぎりでガスリーに勝つぐらいのパフォーマンスを見せてほしい。よくチームメイトが文句を言うじゃないですか。「あっちのほうにいいパーツがいっている」って。そんなことをガスリーに言わせるぐらい、追い詰めてほしい。あの才能があればできると思います。

●具体的に、角田選手のどのあたりに才能を感じるのですか?

熱田 角田選手のことはF3から見ていますが、まずはタイヤの使い方が抜群にうまい。F2でも参戦1年目にも関わらず、特殊なピレリタイヤにアジャストして、ちゃんと競り合いをして、勝つところまでもっていきますからね。これまでたくさんの日本人ドライバーがヨーロッパに来ましたけど、あんな走りができるドライバーはいなかったですよね。

桜井 適応能力はありますし、競り合いがうまい。後ろからでもしっかりと追い抜いて順位を上げてきます。それができる日本人選手はなかなかいません。

熱田 今までの日本人では間違いなく一番だと思います。F2のバーレーンのレースでは後ろから抜いて勝つところを見ましたが、フェラーリのシャルル・ルクレールを彷彿とさせました。ルクレールもF2時代は後ろからバンバン抜いて優勝するシーンを何度も見ました。「コイツだけ別のタイヤを使っているんじゃないのか」とルクレールも言われていましたが、そんな圧巻の走りでした。

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