レッドブル・ホンダ、最速マシンでも勝てず。敗因は不運だけじゃない (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

サヒールGPでF1初優勝を飾ったセルジオ・ペレスサヒールGPでF1初優勝を飾ったセルジオ・ペレス 予選で12位に終わってしまったことや、アルボン自身のドライビングにキレがないのもさることながら、レッドブルがどのチームよりも多くのダウンフォースをつけ、どのマシンよりもストレート最高速が遅かったことも大きく影響していた。

 各車がトレイン状態でつながって走っていると、全員がDRS(※)を使ってしまいDRSの効果がゼロになってしまうから、本来の最高速が遅ければ勝負にならない。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

「ストレートが遅いのはわかっていたことで、DRSが使える時はなんとかほかのクルマについていくしかないと思っていたけど、実際にオーバーテイクをするのはものすごく難しかった。

 前のクルマを抜くには、ターン1で強引に飛び込んでいくしかなかった。僕らはセクター2のようなところでは速かったんだけど、そこでは追い抜きはできないからね。今日の僕らのダウンフォース設定ではものすごく厳しいレースだったよ」(アルボン)

 結局のところ、メルセデスAMGの自滅という最大のチャンスを、レッドブル・ホンダは2台ともに生かすことができなかった。それもひとつの理由ではなく、さまざまなミスが積み重なっての結末だ。

 マシンパッケージとしての実力で負けて勝てないいつものレースよりも、メルセデスAMGがいなくなって間違いなく最速のマシンだったサヒールGPで勝てなかった痛手と落胆は大きい。

 2020年はもう最終戦アブダビGPを残すのみとなった。来季の挑戦に向け、完全に膿を出し切るようなレース週末を送るべく、最大限の準備を進めてもらいたい。

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