次の日本人F1ドライバー候補。角田裕毅はレッドブル重鎮のイチ推し (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 レッドブルのモータースポーツ活動は、チームのアドバイザーを務めるヘルムート・マルコの一存で決まると言っても過言ではない。ドライバー選定は、その最たるものだ。

 そのヘルムート・マルコが、角田にはベタ惚れだ。

 日本でまだFIA F4に参戦していた2年前の夏、角田はハンガロリンクで行なわれたレッドブルのオーディションに参加してF3マシンで好走を見せ、『レッドブルジュニアドライバー』入りを決めた。レッドブルからスポンサードを受けるレッドブルアスリートは数多くいても、レッドブル直系の育成プログラムであるレッドブルジュニアに加入できるドライバーはほとんどいない。

 そのオーディションに先立ってF1のハンガリーGPが行なわれているパドックにやって来た時、彼はすでにヨーロッパで戦うことしか考えていなかった。まだ日本のFIA F4のドライバーでしかなかった彼は、当時こう話していた。

「ヨーロッパに来て何が一番重要かというと、練習機会が少ないなかで、どれだけ自分の力が発揮できるかだと思うんです。とくにGP3なんかは他の国から来て、初めてのサーキットでいきなり走らなきゃいけないっていう環境のドライバーもたくさんいると思うんです。

 そんななかで、トップドライバーたちはしっかりとまとめてきていたし、しっかり攻めきっていてスゴいなと思いました。でも逆に、完全に負けたという感じもしなかったので、自信もありつつ学ぶことも多かったなというのが今週の経験でした」

 そのためには、今年FIA F4のチャンピオンになってスーパーライセンスポイントを合計19点にすることが絶対条件で、来年GP3から改組されるFIA F3に参戦して好成績を挙げれば40点を超えてスーパーライセンスが取れる。彼ははっきりとそう言った。

 フォーミュラの入門カテゴリーに参戦しながら、彼はすでにF1までの道筋を明確に描いていたのだ。

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