ホンダF1、失敗できないレースでいい仕事。悩みの「挙動変化」も改善 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

2位のフェルスタッペンはファステストラップも記録2位のフェルスタッペンはファステストラップも記録 予選ではメルセデスAMG勢の間に割って入ることすら期待でき、フェルスタッペンも3位という結果に「もう少しいい結果を期待していただけに、少しガッカリでもある」と語るほどだった。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は中速コーナーが連続するセクター1で速さを実感し、逆に低速のシケインではメルセデスAMGに負けていたと認める。

「今週末の我々は全体的にコンペティティブで、メルセデスAMGとのギャップは縮まっていた。このサーキットの特定の箇所ではメルセデスAMGよりも速かった。

 とくにセクター1がコンペティティブで、メルセデスAMGに対するゲインはすべてセクター1で稼いだものだ。逆にターン13〜14は我々の弱点だったが、我々としては勇気づけられる結果だ。この流れを維持したままシーズン後半戦を終えたいし、RB16の抱えている問題をさらに詳しく理解し、来年型RB16Bのために問題解決に努力したいと思っている」

 セクター1でのアドバンテージは、メルセデスAMGがダウンフォースを削ったセットアップを施したことも無縁ではないだろう。シケインで後れを取ったのは、メカニカル性能でまだ差があるということだ。

 フェルスタッペンは最終周、ファステストラップを記録して1点を稼いだ。だがそれも、直前のセーフティカー導入時にタイヤを交換したばかりであったことや、ハミルトンに比べてバッテリーに蓄電するチャージラップをやりやすい状況下にあったことも影響している(前周は大きくペースを落としてチャージしている)。

 それでも、レッドブル自身がこれまで悩まされてきたコーナーの侵入からエイペックス(コーナー内側の頂点)までの突発的な挙動変化を改善できたことは大きな意味がある。今季型RB16の改良進化型となる2021年型マシンの開発を見定めるためにも、この時点で問題の原因と解決策をしっかりと掴んでおくことが重要だからだ。

 2021年かぎりでの撤退が明らかになった直後のアイフェルGPは、ホンダとしてもレッドブルとしても大きな意味のあるレースだった。そこで全力を出し切り、さらに来季に向けた光明の見えるレースができたことは、レッドブル・ホンダにとって大きな福音となったはずだ。

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