新世代が台頭するMotoGP。抜け出すヤマハを安定度増したスズキが追う (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

「もしもレースがあと数周あれば、(小排気量クラスの)Moto3並みのタイムになっていたかもしれない」

 そう振り返るクアルタラロと対称的に、レース後半にすばらしい追い上げを見せたのが、チームスズキエクスターのジョアン・ミルとアレックス・リンスだ。

 ミルは、土曜の予選を終えて3列目8番グリッドに甘んじた。

「自分たちは、新品タイヤを入れたときに速さを発揮できない。だから、予選のタイムアタックではその弱点が出てしまう。でも、使い込んだ状態のタイヤではうまく走れるので、明日のレースはラスト10周に皆が苦しむと思うけど、僕は追い上げていけると思う」

 決勝は、そう話したとおりの展開になった。前を走る選手たちがペースを落としていく中、ミルは高水準のラップタイムを続けて順位を上げていった。ラスト3周になっても1分42秒台前半のタイムを維持していたミルは、2番手に浮上した。

「最後はファビオのペースが落ちていたので、あと1周あったら追いついていたと思う」と話すミルと、「最後にタイムを下げて43秒台で走っていたのはペースをコントロールしていたわけではなくて、あれが限界だった」と述べたクアルタラロの言葉を比べてみると、ミルの高い安定感がさらに浮き彫りになる。

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