今季F1もメルセデスはほぼ無敵。中団争いは史上最高に予測不能だ

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

今シーズンも優勝候補筆頭のメルセデス今シーズンも優勝候補筆頭のメルセデス 今シーズンのF1も、メルセデスが「最強」であることはほぼ間違いない。テストでのラップタイムを分析する限り、最速のマシンは明らかにメルセデスW11であり、このマシンとオールラウンドに強い「最速ドライバー」ルイス・ハミルトンのコンビネーションは「ほぼ無敵」にすら感じる。

 しかも、今季のメルセデスW11ステアリングホイールに新機能を加え、走行中にフロントタイヤのキャンバー角(タイヤ・ホイールが車体に対して取り付けられる角度)を変えられる、革新的な新機構「DAS」(デュアル・アクシス・ステアリング)を搭載し、ライバルたちを大いに驚かせた。

 このDASが生み出す性能向上の幅は小さいかもしれないが、確実に期待できそうであり、その一方で、DASの非常に複雑な機構を他チームがコピーするのは容易ではない。昨年、すでに最強のマシンであったメルセデスが、さらなる技術的チャレンジでライバルを引き離しにかかった形だ。

 現時点で彼らに唯一の不安があるとすれば、テスト中にも何度かトラブルを起こしていた新型パワーユニットの信頼性だけだろう。この問題を開幕前にどれだけ解決できたかが、彼らのスタートダッシュの鍵を握ることになりそうだ。

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