2019.12.09

MotoGPマルケス圧勝の裏で、
新世代が台頭しベテランは衰退

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2019年を振り返ると、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がいとも簡単にタイトルを獲得したシーズンだったように見える。最高峰クラスでは6度目、通算8回目の世界チャンピオンとなったマルケスは、シーズン最多ポイント(420点)やランキング2位選手との史上最大ポイント差(151点)など、数々の記録も更新した。

レース後に健闘を称え合うクアルタラロ(左)とマルケス(右) だが、その表面を剥いでみると、ここ数年にないほどさまざまな出来事が発生した年だったことがわかる。マルケスから王位を奪おうとしたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)は、たしかに3年連続ランキング2位で終えてしまったかもしれない。しかし、レース内容そのものは近年でも最も高い水準で、最終ラップまで勝負がもつれ込んだのは19戦中8戦にのぼる。

 新世代の台頭も見逃せない。とりわけ、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)の活躍は、マルケスが2013年に最高峰へ登場した時以来の衝撃だった。来年以降のクアルタラロは、マルケスをもっとも悩ませる存在になることは間違いないだろう。

 その一方で、マルケスにとって最大のライバルだった年長選手たちの衰えも目立った年だった。

 5回の世界タイトルを獲得した32歳のホルヘ・ロレンソは、レプソル・ホンダ・チームに移籍した今年、望むような成績を挙げることができず、最終戦を最後に現役生活を退いた。40歳のバレンティーノロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は、ドゥカティ時代以来の厳しいシーズンを耐えて過ごした。

 この2019年が新たな世代交代の端緒となるシーズンだったのかどうかは、やがて時が来ればわかるだろう。

 また、今年は最高峰クラスの歴史で初めて、4つのメーカー(ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、スズキ)がそれぞれ最低2勝を挙げたシーズンだった。

 マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)は、それぞれ優勝したレースでは手のつけようのない速さを発揮していた。KTMとアプリリアも、数戦でトップシックス圏内のフィニッシュを果たしている。MotoGPという競技全体にとって、これは健全な傾向と言えそうだ。