レッドブル・ホンダが最終戦で証明。来季タイトルは近づきつつある (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)


 しかし、今年はその差が縮まった。それは、パワーユニットの性能も含めたトータルパッケージでメルセデスAMGとの差を縮めたことを意味している。

 クリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「アブダビではいつも『メルセデスAMGが速い』と考えていたが、我々は(2014年に)V6エンジンになってからの予選で最もコンペティティブな走りができた。決勝では(シャルル・)ルクレールに抜かれたことでタイムロスを強いられてしまったが、2位を取り戻すことはできた。

 ペース自体はルイス(・ハミルトン)のコンマ数秒落ちで、我々もどこを改善しなければならないのかは分かっている。だが、今週末のパフォーマンスは全体としてポジティブな兆候だと言える」

 スタート直後にフェラーリのルクレールに抜かれたものの、レッドブル陣営は慌てることなくチャンスを待ち、ルクレールがフェルスタッペンのアンダーカットを恐れて早めにピットインした際にも、それにつられて飛び込むようなことはしなかった。逆に13周長く引っ張ることによって、そのぶんだけ第2スティントにフレッシュなタイヤを履き、そのグリップ差を生かして同じストレートで抜き去ってみせた。

 その時点でハミルトンに15秒の差をつけられてしまっていたことで、レッドブルはハミルトン追撃をあきらめて、2位確保の走りに切り替えた。

 しかし、昨年最終戦との比較という大きな視点で見れば、マシンパッケージと戦略の両面でフェラーリを上回り、メルセデスAMGとの差を縮めたというわけだ。

 昨年は年間4勝を挙げたレッドブルだが、それはセーフティカーに助けられた中国GPや上位勢が自滅したオーストリアGPを含めてのものだ。昨年のポールポジションの数は2回であったが、今年は実質的に3度のポールを獲った。

 単純な勝利数だけで測ることのできない実力で言えば、2019年のレッドブルはホンダとのパートナーシップで着実に頂点へと近づいたと言える。それをはっきりと証明したのが、アブダビGPの走りだった。

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