スーパーGTで波乱。難解コンディションがふたりのヒーローを生んだ (2ページ目)
「ダンプ(湿っている)コンディションでのウェットタイヤ走行は難しかったです。でも、GT300でもブリヂストンタイヤで戦ってきたので、そこでの経験をうまく生かすことができました。下積みがすごく長かったですけど、それがすごく生きたな......と感じたレースでした」
レース後半の中山の激走を、チームメイトのコバライネンも絶賛した。
「彼のことを、もっと評価してあげてほしい。本当にプロフェッショナル。GT500初参戦のシーズンだが、いつもすばらしい走りを見せてくれる」
中山のGT500クラス初優勝によって、39号車はドライバーズランキングでも3位に浮上。残り2戦、逆転チャンピオンの可能性も見えてきた。
そして、もうひとりの「初優勝」は、GT300クラスで60号車を駆った20歳の宮田莉朋だ。
宮田はスーパーGTと併催されているジュニアカテゴリー「FIA F4」で2016年と2017年に2年連続で王座に輝くと、2018年にはGT300クラスのシートをゲット。さらに全日本F3選手権でも活躍を始めた。
トヨタの若手育成プログラム「トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム」の一員でもある宮田は、将来を期待されるドライバーのひとりだった。しかし、そんな彼にも高い壁が訪れる。
2018年、スーパーGT初年度で表彰台に立ったのは、第4戦・タイの3位のみ。同世代が活躍してGT500クラスのシートを掴む一方、宮田は今年もGT300クラスに残ることとなった。
さらに、参戦している全日本F3選手権でも不運に見舞われる。2戦連続で車両規定違反による失格となり、2レースを残してライバルのサッシャ・フェネストラズにチャンピオンの座を奪われてしまった。
そんななかで迎えたオートポリス。スタートを担当した宮田は難しいコンディションのなか、抜群のテクニックで激走する。途中から雨が降り始めても、チームの指示でコース上にとどまり続けたのだ。
この宮田の貢献によって、チームはレース後半でのタイヤ選びを見極めることができ、天候の状況を見てスリックタイヤへの交換を選択する。宮田はレースの6割以上にあたる40周を走破してピットイン。結果、この作戦が功を奏して、残り3周でトップに浮上して優勝を飾った。
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