佐藤琢磨が逆境はねのけ今季2勝目。実力で「犯人扱い」の声を封じた (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 しかし、琢磨は1周で13番手まで大きくポジョションダウン。その後のマシンのハンドリングの悪さから早めのピットストップを行ない、1周遅れの最下位にまで落ち込んだ。

 先週のポコノで今年初勝利を挙げたばかりのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)という2人の大ベテランがマシンのコントロールを突然失って、クラッシュするなど、非常に難しいレースとなったゲイトウェイ。そんななかで、ルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)が目覚ましい走りを見せていた。

 しかし、ブルデイのアクシデントで出されたフルコースコーションは、ピットタイミングをずらしてチャンスを待っていた琢磨ら4人に味方した。琢磨、トニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)、そしてポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は、最後のピットストップを終えてもトップグループに残り続けることができた。

 残り50周を切ってトップに躍り出た琢磨は、カナーンを突き放し、勝利に向けて突っ走った。ところが、タイヤが急激に磨耗してペースダウン。2番手にポジションを上げたカーペンターがみるみる差を縮めてきた。

 タイヤを労わりながら、間隔をチェックしながら、琢磨は残り周回数でカーペンターの攻撃をいかに退けるかを考え続けた。ファイナルラップ、2台はテールトゥノーズになったが、琢磨は巧みなライン採りで相手に並びかけることをさせず、バックストレッチからターン3、そしてターン4を回った。ゴールの直前、アウト側からカーペンターがアタック、2台は並んでゴールラインに飛び込んだ。そして0.0399秒の差で琢磨がウィナーとなった。

 スタート直後に接触に遭い、周回遅れの最後尾まで転落した琢磨だが、クリーンに、スマートに戦い続けてレースの折り返し点を迎える前にリードラップに復活。2、3、4回目のピットストップを全部フルコースコーション中に行なう作戦も的中し、248周のレースの188周目にトップに躍り出た。刻々と変化する路面コンディションに合わせ、レース中にマシンセッティングを変更。レース後半戦のスピードを高く保てたことで、大きなポジションゲインを実現した。

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