何度でも分析したい。レッドブル・ホンダが優勝できた5つの要因 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 純粋なパフォーマンスで言えば、ホンダはフェラーリやメルセデスAMGはおろか、予選でスペシャルモードを使った際のルノーにも後れを取っている。しかし、その差は以前のように大きなものではない。そして、スペシャルモードが使えない決勝では、フェラーリとの差もさらに縮まっている。

 それに加えて、レッドブルの地元であるオーストリアGPでは、ホンダはギリギリまで攻めたパワーユニット運用でチームの期待に応えてみせた。

 ストレートでフェラーリやメルセデスAMGを次々と仕留めていった背景には、10周フレッシュなタイヤのグリップのみならず、ホンダが加勢したパワーもあった。トップでチェッカーフラッグを受けたフェルスタッペンは、「今日はストレートでいいパワーがあった。あのパワーがあったからこそ、オーバーテイクできたんだ」とホンダに感謝の言葉を述べた。

 車体、パワーユニット、ドライバー、レース戦略、そして運......。オーストリアGPでの劇的な勝利は、あらゆる要素が揃って初めて実現できたものだ。これほどまでにパーフェクトなレース週末は、そうそうあるものではない。

 しかし、逆に言えば、今後もこれだけの完璧な週末を築き上げることができれば、オーストリアGPと同じようにライバルを圧倒する速さを発揮できるということでもある。その確率を上げるためにも、車体も、パワーユニットも、チームも、ドライバーも、すべてがさらなる向上を目指さなければならない。

 この優勝はあくまでも通過点であり、レッドブル・ホンダが目指すのは、もっと高い頂点だ。彼らはようやく、その一歩目を踏み出したに過ぎない。この先、さらなる感動が我々を待っているはずだ。

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