2019.07.10

何度でも分析したい。
レッドブル・ホンダが優勝できた5つの要因

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 圧倒的な速さと、ダイナミックな逆転劇――。第9戦・オーストリアGPでレッドブル・ホンダが初優勝を遂げた背景には、5つの要因があった。それらを詳細に解説していこう。

オレンジ色のフェルスタッペン応援団の前を駆け抜けるレッドブル・ホンダ ひとつ目は、レース戦略だ。

 予選ではフェラーリに0.436秒の後れを取ったレッドブル・ホンダだったが、決勝ではフェラーリを上回る速さを手に入れる”魔法”を使った。それは、第1スティントで我慢してライバルよりも後にタイヤ交換を行ない、第2スティントでライバルよりもタイヤがフレッシュな状態を生み出すという戦略だ。

 これによって、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は首位シャルル・ルクレール(フェラーリ)より9周、2位バルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)より10周新しいタイヤ――約0.3秒速いタイヤを履くことに成功した。つまり、車体の差を0.3秒取り戻したことになる。

 これは、レッドブル・ホンダがよく敢行する戦略で、オーストリアGPではピタリとハマった。それがとりわけ、レース後半に驚異的な速さを見せることができた要因だった。

 ふたつ目は、運。

 ピットストップを遅らせる戦略を採りたいレッドブル・ホンダにとって、ライバルが先にピットインしてくれなければ、それは成り立たない。4~5周のタイヤ差では、あまり意味がないからだ。

 レッドブル・リンクはタイヤの保ちがよく、ソフトタイヤでもレースの半分を走り切ることができる。本来なら、この戦略を採るメリットは小さいはずだった。

 ところが今回の場合は、高温と高地の空気の薄さによってパワーユニットの冷却不足に苦しむボッタスが21周目にピットイン。これを見て、首位ルクレールもボッタスの前を確保すべく、翌周にピットインしてくれた。期せずして上位2台が早めにピットインしてくれたことが、レッドブル・ホンダにとっては幸運だった。

 しかし、残るルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)はフェルスタッペンと同様の戦略を採っており、そのままでは彼を抜くのは難しそうだった。だが、ハミルトンがフロントウイングのフラップ調整機構にダメージを負い、ノーズごと交換するためにピットストップ。これによって8秒をロスし、後方に下がってくれたことも大きな幸運だった。