2019.06.28

最速男がいても何か足りない。
米レース界の名門アンドレッティの現在

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 ペンスキーといえども、資金確保は簡単ではない。フルシーズンスポンサーは、ウィル・パワーのマシンについているベライゾンだけ。ニューガーデンとシモン・パジェノーの2台は、スポンサー数社を何戦かずつシェアしているほどだ。それでも彼らは、レースごとに7ポスト・リグなどのシミュレーターでデータ収集、解析を行なうだけの資金確保を目標としており、それを実現し続けている。そうすることでしかトップに君臨することができないと、理解しているからだ。

 それに対してアンドレッティは、成績よりも資金を追いかける状況に陥りがちで、資金が足りないとなれば、すぐさま開発にしわ寄せがいく。経営基盤を安定させようと、ラリークロスはフォルクスワーゲン、フォーミュラEはBMWで戦い、GT4ではマクラーレンを走らせているが、資金面で窮地に立たされると、エンジンサプライヤー2社まで天秤にかけ、少しでも有利な条件を引き出そうとする。

 このあたりはいかにもアメリカのチームらしいが、それではエンジンメーカーとの信頼関係も盤石なものにはならない。いつライバル陣営に移ってしまうかと心配されるようでは、それも仕方がないだろう。

 ドライバーに関しても、ペンスキーは2年前から元チャンピオン3人を揃え、インディ500には、同レースで過去3勝のエリオ・カストロネベスも起用。やり過ぎとも思えるほどの体制を維持し、ドライバーたちがハイレベルで協力し合う体制を確立している。

 一方、アンドレッティでタイトル獲得経験を持つのはハンター‐レイだけ。ロッシが急成長してチームをリードするレベルになっているが、3人目は、パフォーマンスが低下の一途をたどるのに”クビ”にできないオーナーの息子、マルコ・アンドレッティ。4人目として昨年加入した元インディライツチャンピオンのザック・ビーチは、資金獲得要員と言われても仕方のない存在だ。ドライバーラインアップの強化もされるべきだろう。