2019.06.19

エアレース連勝の室屋義秀が読み切った
「悪天候、難コースの攻略法」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 レース本番を前に、フリープラクティス(公式練習)が行なわれたこの日、室屋義秀は黒いパーカーのフードを頭からすっぽりとかぶり、寒さに震えていた。

「ハンガーにいると、体が冷えちゃうから、お茶でも飲んで温まろうかと思って」

 現地時間6月15日、16日に、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第2戦が行なわれたロシア・カザンは、その期間中、目まぐるしく天候が変化した。

開幕戦に続き、第2戦も制した室屋 photo by Armin Walcher / Red Bull Content Pool 各チームが現地入りしたときには、気温30度を超える酷暑に見舞われながら、フリープラクティスが始まると一転、15度程度までしか上がらず、寒風が吹きつけた。

 また、レースが始まってからも、予選日こそ穏やかな天候に恵まれたものの、レース日当日は、厚い雲がレーストラック上空を覆い、時折雲の隙間から太陽が顔を出したかと思えば、突如激しい雨が降り出すこともあった。

 カザンのレーストラックは、ただでさえ直線部分が少なく、旋回が続く難コース。そこに天候の変化が加われば、パイロットの悩みはさらに膨らむ。レースに臨む各チームには、さまざまな状況を想定し、コースの攻略作戦を立てておく必要があった。

 結果から言えば、室屋は開幕戦に続いて第2戦も制し、チャンピオンシップポイントを2位と9差の53ポイントにした。開幕戦とは異なり、予選でのポイント獲得こそならなかったものの、レース全体を通じてバラつきのない安定したフライトは際立っていた。

 果たして、難コース攻略のポイントはどこにあったのだろうか。

 見た目にわかりやすいのは、最後のフラットターン(水平方向の大きなターン)である。ゲート15、16と通過した後、Uターンするように大きく旋回して180度方向を変え、フィニッシュゲート(ゲート15と同じゲート)へ向かっていく。その速さによって、大きくタイムが変わってくるというわけだ。

 実際、予選でトップに立ったミカ・ブラジョーは、ここで限界ギリギリの完璧なフラットターンを決め、このセクターだけで、他のパイロットたちに0.5秒前後の差をつけている。

 また、室屋にしてもファイナル4のフライトでは、「あそこは目一杯攻めた。インコレクトレベルになるギリギリで通過しているし、Gもペナルティギリギリまでかけた」。その結果、「0.2秒くらい稼いだ。その分がなかったから、勝っていなかった」。