佐藤琢磨、残り8戦は得意コース続き。王座獲得へ戦闘力アップ (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 一方のロッシは、第2戦サーキット・オブ・ジ・アメリカスと第7戦デトロイト・レース1で間違いなく最速だったが、スピードを勝利へとつなげることができなかった。レース展開を味方につけて勝利を挙げたニューガーデンとは対照的だ。インディ500ではシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)がわずかに速く、2位に甘んじた。

 テキサスでのロッシは、予選こそ11位だったが、レースではトップ争いに加わり、最後の最後で優勝のチャンスをうかがった。しかし、結果は今シーズン3回目の2位、7回目のトップ5となった。

 ロッシは今のインディカー・シリーズで最も"乗れている"ドライバー。走りのキレで彼に対抗できるのは、絶好調時のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)か、驚異的パフォーマンスを見せているルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)ぐらい。ニューガーデンを25点差で追うポイント2番手のロッシとしては、不運の連鎖を断ち切りたいところだ。

 テキサスでは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がクラッシュで17位、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がピットでのアクシデントで13位となってポイントを伸ばせなかった。このまま今年のタイトル争いはニューガーデン対ロッシの一騎打ちとなるのか。それを阻止するためには、パジェノー、ディクソン、琢磨らが、次戦ロードアメリカで好成績を挙げ、ポイント上位に踏ん張り続ける必要がある。

 テキサスの予選では、琢磨がポールポジション(PP)を獲得した。昨年はチーム・ペンスキーが予選でトップ3を独占し、琢磨は9位だったが、1年で立場を逆転させた。その背景には、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのエンジニアリング能力の向上がある。インディ500ではPP争いができなかったが、1カ月足らずのうちに、マシンをトップレベルまで大幅に引き上げてみせた。

 琢磨は、「テキサスの予選は、ダウンフォースを小さくすればいいってものでなく、マシンのスライドを最小限に抑え、2ラップ目にタイムが落ちないよう、ダウンフォースはある程度つけていくのが正解」と、PP獲得の秘訣を明かす。そうした味付けが可能なレベルにまで、高いマシンの仕上がりを実現していた。

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