F1も世代交代の波。フェラーリ加入の21歳がベッテルに引導を渡す? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その背景にはフェラーリの何らかの思惑があるのではないかという見方さえなされたが、当のライコネンは「純粋に走りたいから走るだけ」ときっぱり。「今後は(フェラーリ時代のスポンサーイベントやメディア対応のような)面倒なことにわずらわされることもなく、レースに集中できていいよ」とさえ言ってケロリとしている。

 フェラーリではさまざまな"大人の事情"が絡み合い、なかなか心からレースをエンジョイすることができなかったようだった。だが、フェラーリがお家騒動で騒がしくなり、ライコネンも放出されることが決まって自由奔放に走るようになったシーズン終盤戦は、アメリカGPで2013年以来の優勝を飾るなど速さを増した。

 子どもができてからは完全にパパの顔になり、以前のような「クールなアイスマン」というよりも、自然で人間らしい表情や行動が目立つようになってきた。Instagramでも家族愛あふれる写真を次々とアップするなど、ナチュラル路線になった。

 そんな今のライコネンには、ザウバーのようなシンプルなチームが合っているかもしれない。チームメイトが新人(アントニオ・ジョビナッツィ/イタリア/25歳)とあって、チームの浮沈もライコネンひとりの肩に大きくかかるなか、2019年のライコネンは昨年以上にナチュラルな速さを発揮してくれるはずだ。

 その一方で、ウイリアムズから現役復帰を決めたロベルト・クビツァ(34歳)を待ち受けているのは、けっして平坦な道ではないだろう。現役時代は「フェルナンド・アロンソと並ぶ才能の持ち主」と誰もが評価したクビツァだが、2011年開幕前のラリーで右腕切断寸前の大事故に遭い、そこから8年のブランクが空いた。

 2017年末の時点でウイリアムズのシートを争ってテスト参加したものの、最終的にセルゲイ・シロトキンが選ばれたのは、持ち込み資金額の多寡もさることながら、一発の速さの点でもシロトキンに軍配が上がったからだという。

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