2018.12.10

「ゴーン逮捕」に揺れる日産。
スーパーGTで聖域を設けず雪辱を期す

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 カルロス・ゴーン会長の逮捕で激震が走った2018年。日産は今、非常に苦しい立場に立たされている。また、その逮捕劇とは直接関係のない話ではあるものの、圧倒的な強さを見せていたモータースポーツ界においても、日産はかつてない苦戦を強いられている。

日産のエースはナンバー23の「MOTUL AUTECH GT-R」 日本国内で絶大な集客力を誇るスーパーGTは2014年、ヨーロッパで人気のツーリングカーレース「ドイツツーリングカー選手権(DTM)」と車両の技術規則を統一。その決定により、GT500クラスの車両規定は大幅に変更された。

 新たなレギュレーションでは、マシンの基本骨格であるモノコックや後部についている大きなリアウイングなど、多くのパーツを全社共通で使わなければならない。さらにシーズン中のマシン改良も、原則禁止となった。

 この新ルールにいち早く適応し、強力なマシンを作り上げたのが日産だった。2014年にデビューした「日産GT-R NISMO GT500」は序盤戦から力強い走りを見せ、陣営全体でシーズン4勝をマーク。松田次生/ロニー・クインタレッリ組の23号車がシリーズチャンピオンに輝いた。

 現在の規定では、基本的に3年間はベース車両の変更が認められておらず、シーズンオフに改良できる部分も限られている。つまり、ベース車両の出来の良し悪しによって、その後の3シーズン分の戦績にも大きく影響を及ぼしてくる。

 2014年バージョンの車両で圧倒的なパフォーマンスを引き出せた日産勢は、2015年も陣営同士でチャンピオン争いを展開し、松田/クインタレッリ組が連覇を達成。2016年はチャンピオンこそ獲得できなかったものの、日産勢だけでシーズン5勝を挙げる活躍も見せた。

 ところが、2017年の規定変更に伴うベース車両変更で、日産に傾いていた流れは一変してしまう。市販車のGT-Rを大幅に改良してさらなるパフォーマンス向上を狙ったが、テストからタイムがまったく伸びずに低迷。開幕戦・岡山では4台全車がQ1敗退を喫し、表彰台に上がれない戦いが続いた。