トロロッソ・ホンダ、最終戦で惨敗。その壊れっぷりが来季への試金石 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 たしかに2018年のホンダは、過去3年間の苦闘に比べれば格段に進歩した。性能面ではルノーを追い越し、信頼性の面でもレースを失うようなトラブルは少なかった。

 しかし、最終戦で相次いだトラブルは、ある意味で来季に向けたいい引き締めになったのかもしれないと、田辺テクニカルディレクターは語る。

「何も問題が出ないまま終わって、『まだやるべきことはたくさんある』と口で言っているよりも、最後に痛い目に遭ってよかったのかもしれません。予選でも決勝もいいところを走っていたガスリーにトラブル。フリー走行3回目でもセンサートラブルを出しましたけど、それぞれひとつひとつに見切れていなかったことがあったんです。

 もっと大きく捉えると、『こういう観点でちゃんと見ていなかったよね』『こういう観点で見なければいけないのはどこだ?』という課題が、最後の戦いであらためて見えた。オフの間、きちんと時間をかけてそれらを見直して整理していけるのは、ある意味でよかったと思います。

 今回は浅木(泰昭・開発責任者)も現場にいましたから、『こことここは、こういうふうにしなきゃダメだ』『ここは全部、見直さなきゃダメだ』という話もしました。そういう意味で、いいムチが入ったと思います」

 スペック3自体は、来季を見据えてまだ不完全なまま投入されたものであり、そもそも盤石の状態で7戦保つような耐久性を担保しているものではない。ここで壊れたからといって失望するべきではないし、「やっぱりホンダはダメだ」と来季を見限る必要もない。

 壊れたのならば、その壊れっぷりが来年に向けた勉強になる。2018年の終盤戦は、ホンダにとって2019年に向けた試金石だった。

 これまでは、失敗の連続だった。しかし、今のホンダならば、失敗を成功につなげられる。そんな強さの土台を作り上げた1年間だった。

 それを終えた今、ホンダに課せられるのは、2019年に向けて最高の性能と盤石の信頼性を持つパワーユニットを作り上げることに他ならない。

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