ミッション・インポッシブルに挑むホンダ。「ランキング8位を奪還せよ」 (2ページ目)
前戦ブラジルGPでは好走を期待していたが、レースペースが遅くてノーポイントに終わってしまった。
レース直後は予選でQ3に進んだにもかかわらず、「決勝がどうしてこんなに遅いのかわからない」と、チーム関係者たちは首をひねっていた。結果的に問題は、空力性能でもなければパワーユニットでもなく、タイヤの使い方にあったというのがチームの分析による答えだ。
ブレンドン・ハートレイはこう語る。
「一部で報道されたような、ホンダのパワーユニット性能が原因というのはまったくの間違いだよ。メキシコでは古いスペックを使っていたにもかかわらず、あれだけ良好なパフォーマンスを発揮していたんだからね。
ブラジルでパフォーマンスが劣っていたのは、タイヤをいかに使うかということに起因していた。とくにリアタイヤだ。1周アタックではうまく使うことができたけど、ブラジルはタイヤへの入力が大きいサーキットだから、タイヤ温度を正しいウインドウ内にキープすることに苦労したんだ」
リアが滑り、タイヤ表面がオーバーヒート。それによってグリップが低下し、さらに滑ってタイヤ表面の温度ばかりが上がる。まさに負のスパイラルだった。
「それはドライビングの仕方だけでなくて、タイヤをいかにクールダウンするか、マシンのセットアップや(デフやエンジンブレーキ、BBW〔ブレーキ・バイ・ワイヤ〕など)さまざまなツールの使い方にも関連していて、とても複雑なんだ。それは同じくタイヤへの入力が大きい鈴鹿で直面したのと同じ問題だ。予選ではとても速かったのに、決勝では大きく後退してしまった。そういう問題を解決するためにツールをどう使うか、チームにとって学んで理解しなければならないことがたくさんある」
コーナーの入口、中、出口で、それぞれデフをどのくらいロックさせてリアを安定させるのか、それともデフをオープンにして左右輪を自由に回転させてマシンを旋回させやすくするのか。ブレーキング時にエンジンブレーキをどのくらい効かせるのか、ブレーキペダルを最初に強く踏み込んだ状態から徐々に離していく過程でブレーキバランスをどのように変化させるのか......。それもタイヤ状況と路面状況、燃料の重さに応じて常に変化させ続けなければならない。
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