トロロッソでデビューして丸1年。ハートレイは来季シート確保へ正念場 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・撮影 text & photo by Yoneya Mineoki

 結果的に代役のドライバーは見つからず、ハートレイに余計なプレッシャーを与えただけだったが、来季のシートを巡ってふたたびハートレイは厳しい状況に立たされている。ライバルと思われたドライバーが次々と12月に開幕するフォーミュラEへの転向を明らかにする一方で、トロロッソ・ホンダは今季のF2選手権で2位につけるタイ人若手ドライバー、アレックス・アルボンと交渉しているという噂が流れてきた。

 そんな数々のプレッシャーと戦うことで強くなれたのだと、ハートレイは語る。

「タフな状況は人間を強くする。シーズン序盤にシートを失うという噂が出たとき、あれで僕は強くなった。ああいうことにどう対処すればいいのか、ということを学んだ。僕はシーズン中盤にマインドを変えたんだ。以前よりも、もっと自己中心的になるべきだと思った。

 F1はマシンをドライブするだけではなくて、コース外でもいろんなことが進行している、ものすごく複雑な世界だ。だから、マシンを自分好みにセットアップする方法や、周りの人間からできるだけ多くを引き出す方法も学ばなければならない。外から見えない部分も含めて、自分の時間の使い方なども、もっと自己中心的にすることで、重要なことにもっと集中すべきだと思ったんだ。

 それによって、僕は大きく成長することができたと感じている。WECのときに比べて、格段に強いドライバー、強い人間になれたと思う」

 ハートレイは人間として強くなり、ドライバーとして速さを増した。

 ただ、シーズン中盤戦はトロロッソ・ホンダがパフォーマンスを落とし、2台ともに入賞ができない低迷が続いた。そのことが、ハートレイの成長を見えづらくしていたのかもしれない。

「信頼性や運など、僕の力ではどうすることもできないことで失ったレースも多かったし、レース戦略も僕の望みどおりにならなかったこともあった。過去に1周目の混乱に巻き込まれたのは自分のミスとは言わないけど、正しくない時に正しくない場所にいたことで起きたわけで、振り返ってみれば1周目の戦い方はもっと改善の余地があったとも思う。

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