ディクソンが王者でインディは幕。佐藤琢磨は現チームで来季に挑む (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 この他にも、フェニックスでの第2戦では17位スタートで4位、第5戦インディカーGPでは18位スタートから2位、第14戦ポコノでは13位スタートから3位でゴール。それらはディクソンのスマートなドライビングだけでなく、チップ・ガナッシ・レーシングというチームの力も貢献していた。

 絶対に諦めない不屈の闘志を保つクルーたちは、迅速かつ確実なピット作業を繰り返す。臨機応変に戦うための作戦力も非常に高い。そうした総合力により、チームは12回目のタイトル獲得を成し遂げた。これはチーム・ペンスキーの15回に次ぐ成績だ。しかも、ペンスキーが50年をかけて15回チャンピオンになったのに対し、ガナッシは29年で12回の王座というハイペースぶりだ。

 ディクソンは、「僕はゴールラインを横切る幸運な仕事を担当しているだけ。タイトル獲得はチームによるものだ。僕をサポートしてくれた家族、そして、タイトルを競い合ったライバルチームにも感謝する。とても激しい戦いだった。ロッシのシーズン終盤の追い上げも讃える。彼はこれから多くのタイトルを獲得することだろう」と語った。

 最後尾に落ちたロッシは燃費作戦で上位進出を狙ったが、逆に周回遅れに転落。すると一転して全力走行で優勝を目指す作戦へと変更した。その転換は遅すぎたようにも見えたが、ピットストップを行なった直後にフルコース・コーションが出る幸運に恵まれ、トップが見える位置までジャンプアップ。11位から次々とマシンをパスし、一時は5位まで浮上、ファンを大いに沸かせた。

 しかし、レース終盤の激しい走りはタイヤに負担をかけ、燃料をセーブしなければゴールまで走り切れない状況となりペースダウン。7位でゴールとなった。それでも今シーズン3勝を挙げた彼は、自己最高のランキング2位でシーズンを終えた。

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