小林可夢偉、またも初優勝を逃す。不運が重なり「あと一歩」の2位 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 一時は中止となる可能性もあったが、雨脚が落ち着いたこともあって16時10分にレースは再開。12周目にセーフティカーが解除されて本格的にスタートすると、可夢偉はトップの関口を猛追した。雨の影響で視界が悪いにもかかわらず、各コーナーで隙を見つけては並びかけようとする。

 そして13周目、マイクナイトコーナーでイン側に飛び込み逆転に成功。可夢偉はついにトップへと浮上した。ただ、その際のバトルで可夢偉はフロントノーズの一部を破損する。それでも必死にペースを上げていき、あっという間に2番手以下に7秒の差を築いた。

 それはまるで、予選での悔しさをぶつけるかのような、気迫のこもった走りだった。

 このレース展開を見てサーキットに詰めかけたファンや関係者の多くは、可夢偉がついにスーパーフォーミュラ初優勝を成し遂げると確信した。しかし、またしても予想外の事態が可夢偉を襲う。

 可夢偉の後方で、アクシデントが発生。コース上に飛散したパーツや車両回収のため、セーフティカーが導入された。結果、5.8秒あった可夢偉と関口の差はゼロとなる。

 27周目に入るところで再スタートが切られたが、可夢偉は関口の反撃を気にしてか、一気にペースをあげて引き離そうと攻め込んでいった。しかし、それが仇(あだ)となってしまった。

 可夢偉はコース後半のダブルヘアピンひとつ目で止まり切れず、コースオフ。このミスにより、トップの座をあっさりと関口に奪われてしまう。

 幸いにも2番手でコースに復帰できた可夢偉は、あきらめずに追い上げをスタート。関口がミスを犯してタイムロスした隙に背後につくと、32周目のアトウッドカーブで関口のインに飛び込む。しかし、そのカーブの先ではマシン1台がスピンし、コース上に停車していた。周辺はイエローフラッグ(追い越し禁止)区間となったため、可夢偉は引かざるを得なかった。

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