近藤真彦監督、モヤモヤを解消。10年ぶりの美酒に酔いしれる (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

「タイヤ交換後の1周は、人生で一番大事な1周だという気持ちで走った。石浦選手に逆転されてしまうんじゃないかと心配もしたが、本当に運に恵まれた」(キャシディ)

 最後までペースを緩めなかったキャシディは、その後も石浦を引き離して勝負あり。待ちに待ったトップチェッカーを受け、記念すべきスーパーフォーミュラ初優勝を成し遂げた。

 レース後、パルクフェルメ(車両保管所)のキャシディに近藤監督が駆け寄ると、互いに感情を爆発。ふたりは満面の笑みで表彰式の中央を飾った。

「『10年ぶりの優勝』とか恥ずかしいので、あまり言わないでください(苦笑)」

 スーパーフォーミュラでの勝利をやっと掴むことができ、肩の荷がひとつ降りたのだろう。記者会見に登場した近藤監督は、ホッとした表情を浮かべていた。

「レースをやっていると、ハッピーなことは本当に少なくて、いつもモヤモヤしながら帰ることが多かった。でも、今日はおかげさまで、すっきりしたハッピーな気持ちで帰れそうです。

 ニック(・キャシディ)はいつ優勝してもおかしくない、本当にすばらしい素質のあるドライバーだということはよくわかっていました。だから、我々がチーム一丸となって完璧にバックアップできれば、勝てるんじゃないかという期待はありました。ニックがいいキッカケを作ってくれたので、今後に向けていいモチベーションにつながると思います」

 この優勝により、キャシディはドライバーズランキングで2位に浮上。トップを快走する山本尚貴(TEAM MUGEN)に1ポイント差と迫った。

 10年ぶりの勝利で、彼らはひとつ殻を破ったと言えるだろう。次なる目標であるシリーズチャンピオンの獲得、そして名門チームへの仲間入りに向けて、KONDO RACINGが大きく動き出した。

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