トロロッソ・ホンダ、新空力パッケージが機能せずハートレイがっくり (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

戦略ミスでタイムを落とす結果となったトロロッソの2台戦略ミスでタイムを落とす結果となったトロロッソの2台 実力を発揮しきれなかったもうひとつの要因は、戦略の未熟さだった。

 14周目にバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)がストップしてVSC(バーチャルセーフティカー)が出た瞬間、多くのチームはピットインしてタイヤ交換を済ませ、最後まで走り切る戦略に出た。そうしなかったメルセデスAMGがレース後にルイス・ハミルトンに謝罪したように、それが今回は定石(じょうせき)といえる戦略だった。

 ところが、この状況になったとき、トロロッソは手負いのガスリーにその定石を与え、後方スタートのハートレイにはスーパーソフトのままレース終盤までステイアウトさせる粘りの戦略を指示した。

 そのため、レース再開後に一旦はチームオーダーで順位を入れ換えてガスリーを先行させたが、ガスリーのペースは伸びずにハートレイが抑え込まれるような状態になってしまった。ハートレイは最後の数周でウルトラソフトに履き替えて猛プッシュをする予定で、タイヤを労(いたわ)るためにも前走車とは2秒程度の差を開けて走らなければならず、不満を訴えた。

「ピエール(・ガスリー)の後ろでタイムを失っているんだ!」

 しかしチームは、「問題ない。このまま走ってくれ」と指示。今にもコースオフしそうな際どいドライブを続けるガスリー優先の戦略を採った。

「ピエールを先行させなければならなくて、戦略が違うからそれ自体は理解できるんだけど、実際のところ僕のほうがペースがよくて、僕は彼の後ろに引っかかるような形になってしまったんだ。(ガスリーに)譲ったときにはまだ大きく(前走車と)離れていたし、その後のペースもよくなかった。それによって、僕のレースはかなり妥協を強いられることになってしまった。もし違う戦略を採っていれば、僕はもっと前のポジションにいただろう」(ハートレイ)

 メルセデスAMG勢の2台とダニエル・リカルド(レッドブル)がリタイアし、ルノー勢がリタイアとタイヤのブリスター(※)で後退したため、ガスリーは8番手まで浮上した。しかし、スライドしながら走っているガスリーのタイヤが厳しいのは当然だった。最後はタイヤがタレ、次々と抜かれてポイント圏外まで脱落した。

※ブリスター=タイヤの温度が上昇し、タイヤ表面が膨れ上がったり気泡ができること。

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