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新尾翼を投入→やっぱやめた。
エアレース室屋義秀の惨敗を招いた迷い (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

 ただでさえチグハグだった臨戦過程には、不運も重なった。

 レッドブル・エアレースでは通常、公式練習が予選前日に2回、予選当日に1回行なわれるが、今回のレースでは予選前日に1回、予選当日に2回というスケジュールに変更されていた。

「もしも予選前日に2回飛んでいれば、その時点で戻すという判断を下せたかもしれない」

 室屋がそう振り返ったように、通常のスケジュールなら、垂直尾翼を元に戻してぶっつけ本番という事態は避けられていたはずだ。

 とはいえ、日程は事前に分かっていたことであり、急に決まったわけではない。室屋が述懐する。

「(公式練習を1回しか飛べなかった予選前日に)そこで判断し切れず、『せっかく投入したのだから、もう少しテストしたい』という思いが強くなってしまい、判断の微妙な遅れにつながってしまった。レースはもっと冷静に戦っていく必要があるなと思った」

 地元開催の第3戦を最下位の14位で終えたことで、室屋はチャンピオンシップポイントを加算することができなかった。ランキングのうえでは、第2戦終了時点と変わらず、19ポイントで3位につけるものの、トップとの差は17ポイントまで広がった。

 室屋が言うように、「今季はまだ5戦を残している。悲観するような差ではない」のは確かである。だが、ともに36ポイントでトップに立つマット・ホールと、2位につけるマイケル・グーリアンの好調ぶりを考えれば、17ポイントは決して小さな差とは言えない。

 連覇へ向け、世界チャンピオンは早くも正念場に立たされている。

◆バトン、早くもポイント首位に。レースで抜かれても好成績のわけは?>>

◆レッドブル供給の布石か。ホンダの新モーターホームが2倍の充実度>>

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