アロンソに勝ったトロロッソ・ホンダ。4位が示すチームの良好な関係 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 昨年は「ストレートで大幅にタイムロスしている」とパワー不足に不満をぶつけられたが、今年は空力効率のいいSTR13のおかげもあってストレートスピードでも他車に引けを取らず、レースのなかでもバトルができ、ハースやルノー、マクラーレンを抑えるどころか引き離す力強さを見せた。田辺テクニカルディレクターはこう語る。

「あっさりパスされるようなこともなく、レースランでのエネルギーマネージメントと燃費マネージメントをやりながら、きちんと後ろのライバルを抑えながら走ることができましたから、『非常によくできました』という感じですね。マシンパッケージが持っているパフォーマンスを最大限にレースでも引き出すことができたと思います」

 つまり、車体とパワーユニットとを合わせた"マシンパッケージ"全体で見て、パフォーマンスが最大化する最適解を弾き出したというわけだ。

 逆に言えば、車体性能だけを追求すればそれはいびつなものとなり、空気抵抗が増えてストレートを犠牲にすることになる。ホンダのパワーが依然として4番目であることに変わりはないが、ルノーに載せ換えたマクラーレンの最高速が伸びていないことを見れば、パワー不足だけが昨年の不振の原因ではなく、ライバルメーカーと勝負ができないほど大きな差があったわけではなかったことが改めて浮き彫りにされた。

 もちろん、パワーユニットはまだまだこれから大幅に開発を進めなければならない。車体についてもテクニカルディレクターのキーは「現段階では新セットアップも、さらなる熟成が必要」だといい、中高速コーナーの多い上海(第3戦)ではバーレーンよりも苦戦を予想している。

 また、STR13の開発ではホンダとの融合にリソースの大半を傾注したため、後回しにせざるを得なかった空力開発にもこれから力を注ぎ、中高速コーナーの速さを磨かなければならないだろう。

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