速いぞ、トロロッソ・ホンダ。もう最高速はマクラーレンを上回った! (6ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 かつてラルフ・シューマッハのマネージャーとして御殿場で1年間暮らしたトスト代表は日本企業の組織力学、日本人の文化や考え方をよく知っている。また、キーもジョーダン時代にホンダとともに働き、2002年には佐藤琢磨のレースエンジニアを務めていただけに、日本人の働き方について熟知している。

 チーム内では何度も文化研修会を開き、イタリア人を中心としたスタッフたちに日本人のメンタルを理解させ、同時にホンダに対するリスペクトの気持ちを持つように指導してきた。トロロッソのスタッフたちからは「オハヨウ」「オツカレサマ」と日本語の挨拶が飛び、ホスピタリティではオーストリア人シェフが寿司や天ぷらなどを振る舞う。チーム内は非常にいい雰囲気が漂っている。

 キーはホンダとのタッグについて、こう語る。

「我々はホンダに対し、そしてホンダも我々に対してフレキシブルな姿勢で臨み、可能な範囲で最速のパッケージを作り上げるために『ひとつのチーム』として協力してやってきた。我々に必要とされているのは、最速のパッケージを作り上げること。そのためには、車体だけが最速でもパワーユニットだけが最速でもダメで、両者が一体となって最速になるコンビネーションでなければダメなんだ。

 日本の人たちとのコミュニケーションはまったく難しいと思わないし、実際にとてもうまくいっている。日本のエンジニアたちは優れた英語を話すし、私の日本語は最悪だから非常に助かっているよ(笑)。我々はともに戦い、ともにひとつのゴールを共有している。

 そこに向けて野心を抱き、耐えるべきところは耐えながら臨んでいるよ。まだいろんなものを構築していかなければならない段階だし、最初からすべてを望むことはできないからね。しかし、我々はそこを理解し、ともに長期的な視点で臨んでいるんだ」

 互いに理解し合い、支え合い、同じ目標に向かって突き進む――。そうやってトロロッソ・ホンダは動き始めた。まだまだ耐えなければならない場面も多々あるだろうが、ホンダも過去3年間とはまったく違うアプローチで再出発を切ることができたようだ。

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