買える怪物「ホンダNSX GT3」は、今季GT300で大暴れするか (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 マシンは1月中旬にチームのもとに届けられ、同月末にシェイクダウン(初走行)を実施。2月22日~23日、岡山国際サーキットで本格的なテスト走行をスタートさせた。この日は、昨年チームランキング2位のK2 R&D LEON RACING(メルセデスAMG GT3/ナンバー65) と、同4位のAUTOBUCS RACING TEAM AGURI(BMW M6 GT3/ナンバー55)もテストに参加した。

 このテストでは、シーズン中に使うタイヤの選定やマシンの細かな動きの確認など、各チームの行なう項目が異なるため、単純にタイムだけで「速い」「遅い」という比較はできない。さらに65号車と55号車は昨シーズンも優勝を飾っている強豪チームで、コースや車両に関するデータも豊富だ。

 それに対して34号車のNSX GT3は、日本で走行経験がないに等しいため、現状では不利な部分が多い。実際に34号車のチョン・ヨンフン監督も「NSX GT3は他のマシンと比べて幅広いセッティングの選択肢はあるが、そこから実戦で使えるものを絞り込んでいかないといけないため、悩みどころも多い」と話していた。

 実際にテストが始まってみると、NSX GT3は経験のある2台(55号車と65号車)から後れをとることになった。1日目は65号車のベストタイムが1分25秒992だったのに対し、34号車は0.665秒遅れの1分26秒657。同サーキットで行なわれた昨年開幕戦の予選データを照らし合わせると、予選Q2にギリギリ進めるかどうか、という位置だ。

 だが、2日目になると65号車の1分25秒556に対し、34号車は1分25秒992をマーク。0.436秒差まで接近し、まだ上位陣を脅かすほどではないものの、着実にペースを上げてきている印象だった。

 若手の大津にとっては、スーパーGTのようなツーリングカーでのレースは初めて。今まで乗ってきたフォーミュラーカーとは特性がまったく異なるため、最初は手探りの様子だったが、徐々に走らせ方のコツを掴んでいった。

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