勝者も敗者も笑顔。マルケスとドヴィの劇的なシーズン、最高の終幕 (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 あわや転倒、という状態をセーブしてMotoGP4回目の年間総合優勝を達成したマルケスは、「最後までマルケススタイルだったね」と笑った。そして、「ドゥカティのスタッフたちがレプソル・ホンダ・チームのピットボックスまで来て抱擁している姿を(ウィニングラップ中に)コースサイドのスクリーンで見て、彼らに対して敬意を感じた。今シーズンは、特にメンタル面で多くのことをアンドレアから学んだ」とライバル陣営の健闘を称えた。

 一方、レース後に戦いを振り返るドヴィツィオーゾの表情にも、悔いのない様子で穏やかな笑みがうかんでいた。

「せっかくの大きなチャンスを逃した、と言う人もいるかもしれないけど、僕はそうは考えない。6勝挙げることができたし、自分たちのやり遂げた成果にも満足したい。もちろん改善の余地はあるけれども、今年はだいぶよくなった。だから、来年はさらによくしていけるだろう」

 激しく火花を散らせた熾烈なチャンピオン争いの終焉が爽やかで清澄(せいちょう)な余韻を残すのは、おそらくマルケスとドヴィツィオーゾ両選手の人柄が、高い緊張感と興奮を覆うように、ゆっくりと浸潤(しんじゅん)してゆくからなのだろう。

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