勝者も敗者も笑顔。マルケスとドヴィの劇的なシーズン、最高の終幕

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 予測のつかないドラマが続いた1年間の掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい劇的なレースだった。

 チャンピオン争いがシーズン最終戦までもつれ込んだマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)の戦いは、バレンシアGP全30周のなかに今年の波瀾万丈の全要素が凝縮されて詰め込まれたような、そんな内容になった。

通算4度目ののMotoGP年間チャンピオンに輝いたマルク・マルケス通算4度目ののMotoGP年間チャンピオンに輝いたマルク・マルケス 今回のレースを前に、ランキングをリードするマルケスと2位ドヴィツィオーゾとのポイント差は21。マルケスは11位以上でゴールすれば、ドヴィツィオーゾの順位に関わりなく年間総合優勝が決定する。一方のドヴィツィオーゾは、自分が優勝してもマルケスが12位以下で終えなければタイトルを奪取できない。チャンピオン争いを最終戦に持ち越したとはいっても、誰が見てもこれはマルケスのほうが圧倒的に有利な状況だ。

 しかも、マルケスはこのリカルド・トルモ・サーキットのような反時計回りのレイアウトを得意としているのに対して、ドヴィツィオーゾは左周りのコースであまりいい成績を残せていない。ドゥカティ・デスモセディチも、直線が短く細かいコーナーが多いこのようなレイアウトは比較的に不得意だ。

 それでも、レースでは何が起こるかわからない。それは、今年のシーズン展開が何度も具現化してきた。

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