エアレース王者・室屋義秀、今季は優勝連発も「来年はイチロー流で」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 そして室屋は、ひとりのレジェンドを引き合いに出し、話を続ける。そのレジェンドとは、過去3度の年間総合優勝を果たし、レッドブル・エアレース史上ただひとり2連覇を成し遂げているかつての絶対王者、ポール・ボノムである。

「やっぱり、ポールの勝ち方とは違うなと思いますね。僕の場合、本選はよかったけど、予選は安定していないということが多かったけれど、ポールの場合はそれがほとんどなかった。彼の操縦技術の高さ、安定感にはまだまだ届いていない。(今季のチャンピオンシップポイントランキングで)上位3、4人はほとんど力の差がないので、今年のように何勝もして一気にポイントを獲得して差を縮めるということは、これからは難しくなる。こんなに1位が取れたのは、ちょっとしたラッキーもあったと思いますから。来年はどうやって安定して飛ぶか。そこはまだ研究の余地がありますね」

 ホームランか、三振か。有言実行のシーズンも、振り返ってみれば、そんな大味な内容だったわけだ。

「結果的に今年はホームランのほうが多く、大当たりの年だったけれど、一歩間違えれば、来年は三振王になってしまう危険性もある。そこはきちんと分析して、詰めておかなければいけないと思っています」

 そして、室屋は笑顔でこう続けた。

「来年は(ホームランはなくても、ヒットを続けられる)イチローっぽい感じで勝ちたいですね」

 現在のレッドブル・エアレースは群雄割拠の時代にある。ひとつ勝ったからといって少しでも気を抜けば、たちまち先頭集団から脱落してしまう。

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