エアレース王者・室屋義秀、今季は優勝連発も「来年はイチロー流で」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 対照的に、最後は室屋の後塵を拝したマルティン・ソンカは、第6戦でラウンド・オブ・14敗退(9位)があったものの、0ポイントのレースはなく、それ以外の7戦のうち6戦でファイナル4に進出。1位が2回、3位が2回、4位が2回、5位が1回と、安定感では明らかに室屋を上回っていた。開幕前に室屋が語っていた優勝までの道のりに、より近かったのはソンカのほうだった。

 室屋は今季のベストレースとして、「(ラウンド・オブ・14からファイナル4まで)3本すべてのフライトのクオリティが高かった」という、サンディエゴでの第2戦を挙げた一方で、ワーストレースに挙げたのが、カザンでの第5戦。「パイロンヒットした後に平常心を失ってしまい、ミスを取り返そうとしてもう一個(ペナルティを)もらってしまった。昨年とか、一昨年とかの、悪いときのパターンに陥った」と振り返る。こうした波の大きい不安定さが、年間総合優勝への道を険しくしたわけだ。

 レッドブル・エアレースに参戦しているパイロットたちに、長いシーズンを戦い抜くうえでのカギは何かと尋ねれば、十中八九、「Consistency(堅実さ、安定感)」という言葉が返ってくる。

 その意味で言えば、今季初タイトルを手にした新世界チャンピオンも、来季以降に大きな課題を残した、そう言わざるをえないだろう。室屋は「ファイナル4へ行ったら強いというのは、我ながらスゴいなと思うところもありますが」と言いつつ、こう語る。

「今年はアップダウンが大きくて、周りのミスに助けられて勝てたところがありました。総合優勝しているわりに、ジェットコースターみたいな成績ですよね。4勝したけど、2位は1回もないし。ワーッと勢いでワールドチャンピオンを取った感じでした」

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