思い出のモンツァでベッテルが熱く語る、幼少期からのフェラーリ愛 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 予選では、パワーユニットに強大な負荷をかけながらもアグレッシブな点火時期セッティングでパワーを20kW(約27.2馬力)も増大させる"予選モード"を使うメルセデスAMGに差をつけられてしまうことは避けられない。ラップタイムにすれば0.5~0.6秒もの不利を背負うのだから、それをひっくり返すことは容易ではないだろう。

 しかし決勝では、両者のパワーユニットの差はなくなる。ベルギーGPでもレースを通してベッテルはハミルトンの背後でチャンスをうかがい続けた。スパ・フランコルシャンではオーバーテイクに至らなかったが、それはハミルトンの直後を走る決勝ではフェラーリがセッティングの重きを置いたセクター2で本来の速さを発揮できず、DRS(※)を使用できる1秒以内に飛び込むことができなかったからだ。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 だが、モンツァではまた異なる戦いが待っている。ハミルトンは、モンツァでも勝負はわからないと言う。

「どんなサーキットでも、セットアップの妥協点を見出す作業が必要だ。フェラーリのほうがダウンフォースが豊富なのではなく、スパでは彼らがセクター2を重視してダウンフォースをつけ、僕らがセクター1とセクター3を重視して削っただけのことだ。そして、それがうまくいった。今週もフェラーリとは接戦になることは間違いないけど、先週とは空力パッケージが違うし、コース特性も違う。どっちが前でどっちが後ろになるかはわからないよ」

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る