心が折れたか。アロンソの「故意リタイア疑惑」でホンダとの関係は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 アロンソはバンドーンのアシストもあってQ3に進出できそうな速さを見せたが、フォースインディアに0.084秒差で逆転されて11位に落ちると、その直後の最終アタックで「ノーパワー。ノーパワーだ!!」と怒りに満ちた口調で無線を入れてピットに戻った。アタックラップの途中でERS(エネルギー回生システム)の120kW(約160馬力)アシストがオンにならなかったのをトラブルだと感じ、セクター通過タイムで0.4秒遅かったのを見て、アタックを取りやめたのだ。

 だが実際のところ、これはアロンソが速すぎたからこそ起きた不運な出来事だった。

 高速のターン10~11(プーオン)は通常はスロットルを戻さなければクリアすることができないため、ターン11を抜けてスロットルをオンにし直したところでERSのアシストが再開されるようにプログラムされていた。スロットルが全開でないときにアシストをしても、それはエネルギーの無駄遣いでしかないからだ。

 しかし、Q2最後のアタックでアロンソは、この週末で初めてターン10を全開で駆け抜けた。そのため、コンピュータがコーナーを抜けたと判断することなく、ERSのアシストもオンにならなかったのだ。

 マクラーレンとホンダのエンジニアはドライバーと重ね重ね議論したうえでERSのオンオフをプログラミングしていたというが、スロットルがオフにならなければERSアシストがオンにならないということがドライバーと情報共有できていなかったのだから、それはコミュニケーションミス以外の何ものでもない。

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