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ル・マンのトヨタを襲った「早すぎる悪夢」。
再び挑戦の1年が始まる (5ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken 写真提供:トヨタ自動車 photo by TOYOTA

「ただ、全部が悪かったわけじゃない。クルマは間違いなく速かったし、ル・マンの歴史に残るラップタイムでポールポジションも取れた。自分たちが目指していたクルマの方向が間違っていなかったことだけは確認できました。今年のル・マンに向けてすべてやり切ったつもりでいたのに、まだ自分たちの想定外の条件があって、結果的にはやり切れていなかった・・・・・・ということなんだと思います。

 でも、僕たちは全知全能の神じゃないから、すべてをやり切るなんて、本当はできるはずはない。それを承知で、それでも『すべてをやり切ろう』と思って努力し続けることが大事なんです。今回はうちのクルマだけじゃなく、ポルシェも壊れた。『24時間、スプリントレースを続けるのが今のル・マン』って、口では簡単に言えますけど、うちもポルシェも本当にギリギリのところで、文字通り死力を尽くして戦っているのが今のル・マンLMP1Hクラスだということを、今年のレースは象徴していたと思います」

 今年は初めて、トヨタの豊田章男社長がル・マン24時間の現場を訪れていた。残念な結果に終わったレース後には「これでまた、自分の『負けず嫌い』に火がついた。今回は社長としてチームに寄り添うことができたが、今後はモリゾウ(豊田社長がドライバーとして競技に参加する際に使う名前)としてもチームに寄り添いたい」と、ル・マン挑戦への支援を表明した。

 2年連続で悪夢のようなレースを経験したが、トヨタのル・マン制覇という「夢」が終わったわけではない。次の「24時間」を歓声の中で迎えるための、長いようで短い新たな1年が、ここから始まろうとしている。

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