まさかのエンジンブローでホンダに衝撃。次戦は新ユニットで正念場に (2ページ目)
シミュレーション上はそのほうが1周を速く走ることができるのだろうが、これではストレート速度は伸びず、決勝では苦戦を強いられても仕方がなかった。
ただ、ホンダに対して大きな失望が渦巻いていたことは事実だ。
直線とシケインだけで構成されるカナダのジル・ビルヌーブ・サーキットだけに、ホンダのアップデートが投入されることに期待が寄せられていた。しかし、十分な性能を担保するだけの開発が間に合わなかったのだ。
十分なアップデートが間に合えば「いつでも投入したい」とホンダの長谷川祐介F1総責任者は語っていたが、出力向上の本丸であるICE(エンジン本体)を改良すれば、燃焼効率が上がったぶんだけ排気ガスの温度は下がる。すると、排気を使ったターボとMGU-H(※)からの回生エネルギーが減ってしまうため、そちらのモディファイも必要になる。事態は想像するよりも複雑なのだ。
※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。
そもそもカナダGPはコンポーネントの寿命による切り替えのタイミングでないため、ここに間に合わせるためだけに中途半端なものを投入してしまうと、無駄に1基を消費するうえに、この後の何戦もそのままで戦わなければならなくなってしまう。
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