無欲の2連勝。ドヴィツィオーゾ「100%で走ったわけじゃないのに」

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「現実主義者」の2連勝である。前戦のホームグランプリで優勝を飾った際には「チャンピオン争いをするのは難しいと思う」と述べていたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)だが、今回の勝利で25点を加算したことにより、ランキング首位のマーベリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)に対して7ポイント差に迫った。

実に安定した走りで2連勝を飾ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(左)実に安定した走りで2連勝を飾ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(左) 第7戦・カタルーニャGPが開催されたバルセロナ・カタルーニャ・サーキットは、前戦のムジェロ・サーキット同様にシーズン屈指の盛り上がりを見せる会場で、今も長く語り継がれる名勝負もこの舞台で繰り広げられてきた。ただし、ここの路面は古いためにグリップが低くてタイヤの摩耗が大きく、さらにバンプ(路面の凹凸)も多い。しかも、季節的に初夏へ向かうこの時期は路面温度が上昇し、ただでさえタイヤに厳しいコンディションの悪化にさらに拍車をかける。

 つまり今回のレースは、ライダーたちが限界ギリギリまで攻めて速さを競う、というよりもむしろ、タイヤをうまく温存しながら可能なかぎり高い安定性を最後まで維持することができるかどうかが勝負の決め手になった。そこをもっともうまくマネジメントして勝利を収めたのが、「理」のライダー、ドヴィツィオーゾだった、というわけだ。

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