ヤマハ移籍でいきなり「横綱相撲」。ビニャーレスが開幕戦を制す (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 にもかかわらず、この勝ちっぷりである。

 ラスト2周でドヴィツィオーゾと繰り広げたバトルを振り返ったビニャーレスは、「少し差を開いておかないと、ドゥカティは直線が速いので抜かれるかもしれないと思った。アンドレアのほうが速いセクターもあって、向こうはそこでコンマ数秒を詰めてきた。自分もできるかぎりスムーズに走って、最終ラップに自己ベストタイムを刻むことができた。ポールポジションから優勝というこれ以上望めない結果になり、ヤマハ移籍初勝利はまるで夢のようだ」と話した。

 ビニャーレスはスズキ在籍時代、あるいはさらにその前のMoto2クラス時代から、次代のMotoGPを担う逸材であると見なされてきた。最高峰クラス3年目の今年は、この開幕戦優勝により、チャンピオン争いの一角を占めることが万人の目にも明らかになった。

 とはいえ、シーズンはここから先17戦の長丁場である。少年時代からの好敵手であるマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)や、あるいは他の有力選手たちを相手に、果たしてどんな激戦を繰り広げるのか。一瞬の隙が命取りになって状況が逆転する緊張感に満ちた戦いになるのだろうが、少なくともレースを観戦する側にとっては、充実した1年を堪能できることは間違いなさそうだ。

■モータースポーツ 記事一覧>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る