F1ホンダのホンネ。真の問題は「信頼性じゃなく、コースで遅いこと」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 それは極めて特殊な技術であり、F1のような1万2000rpm前後まで回転数を回すエンジンにおいては制御が難しい。ホンダが手こずっているのは、そのあたりのようだ。あるホンダ関係者はこう語っていた。

「ジェットイグニッションの燃焼のさせ方にはコツがある。ホンダはまだそれが掴めていない。だからパワーが出ないし、バイブレーションも起きる。バルセロナの3日間で収集したデータをもとに、開幕までの2週間でそのマッピングをどこまで熟成させられるか、時間との勝負だ」

 根本的なパワーの向上のためには、その「コツ」をより正確に掴み、ICEの燃焼室形状から手直しする必要がありそうだという。開幕戦仕様では、一部で報じられた昨年型の40~50馬力落ちというのは大げさすぎるが、まだ昨年の最終型「スペック3.5」の出力まで至っていないのは事実だという。

「こんなことになるなら、去年のエンジンのままでよかったよ」。アロンソは長谷川総責任者に向かって、そう吐き捨てたという。

 しかし、昨年型をいくら改良したところで、メルセデスAMGに追いつくことは絶対にできない。ジェットイグニッション技術もしくはそれに代わる新技術の導入というのは、勝利を目指すためには渡らなければならない橋だった。

4 / 9

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る