F1ホンダを襲う「高地の呪い」。ターボ改善も、今度は空力がダメだ (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 予選でも、決勝でも、マクラーレン・ホンダの2台はトップ10圏内に入ることはできなかった。ザウバーやルノーの後ろに渋滞ができ、そこから抜け出せない苦しい展開になった。1周目にセーフティカーが入り、そこでザウバーやルノーがタイムロスなくミディアムタイヤに交換を済ませていたからだ。

 ミディアムは性能低下がほとんどなく、マージンを大きく取るピレリからの使用周回数指定でも「制限なし」とされるほどだった。1周目に交換してから71周目まで、実質ノンストップでレースを走り切ることも可能だったのだ。しかし、タイヤが苦しいマクラーレンにはその発想はなかった。ザウバーやルノーはいずれピットインして、前が開けると思っていたのだ。

「1周目からずっとプッシュしている! トラフィックに捕まって、レースを走るべきじゃないクルマでだ!」

 アロンソは無線で怒りをぶちまけた。

「僕らのペース自体は決して悪くなかった。でも、トラフィックのせいで前に追いつけなかったんだ」

 12位でフィニッシュしたジェンソン・バトンは、11位のザウバーが実質ノンストップで走り切ったことを伝えられてそう答えた。

 1周目のセーフティカーがなければ、レース展開は変わっていたのではないか? そう尋ねると、長谷川総責任者こう答えた。

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